○出雲崎町議会基本条例

平成25年3月18日

条例第14号

出雲崎町民の直接選挙で選ばれた議員により構成される出雲崎町議会と出雲崎町長は、出雲崎町の代表機関である。この2つの代表機関はともに町民の信託に応える活動をし、議会は多人数による合議制の機関として、また町長は独任制の機関として、出雲崎町の善政について、競い合い、協力し合うことを常に意識し、地方自治の本旨に基づき町政を運営する。

出雲崎町議会及び議員は、その職責の重さを常に自覚し、審議を行い、町民に開かれた議会を常に希求することを通し、もって公共の福祉の増進を目指す。

出雲崎町議会は、議会及び議員の活動原則等の基本的事項を定め、活力ある出雲崎町の実現を図るとともに、信頼される議会を築くことを決意し、この条例を制定する。

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、地方自治の本旨に基づき、出雲崎町議会(以下「議会」という。)に関する基本事項を定め、もって議会が情報の公開と町民参加を基本にした活動をすることによって出雲崎町の持続的で豊かなまちづくりの実現に寄与することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において「町民」とは、次の各号のいずれかに該当するものをいう。

(1) 出雲崎町に住所又は居所を有する個人又は団体

(2) 出雲崎町に通勤又は通学する者

(3) 出雲崎町で活動する法人その他の団体

第2章 議会及び議員の活動原則

(議会の活動原則)

第3条 議会は、町民の代表機関であることを常に自覚して活動しなければならない。

2 議会は、公正性、透明性、信頼性を重んじ、町民に開かれた議会を目指して活動しなければならない。

3 議会は、町民参加を不断に推進する議会を目指して活動しなければならない。

4 議会は、議長及び副議長の選出に当たり、本会議においてそれぞれの職を志願する者に対して所信を表明する機会を設け、その選出の過程を町民に明らかにしなければならない。

5 議会は、議会が町民、出雲崎町長(以下「町長」という。)その他町の執行機関及び議員との交流と自由な討論の広場であるとの認識に立たなければならない。

6 議会は、会議の開催に関する情報提供を行うほか、傍聴者に対し、審議に用いる説明資料等の提供に努めなければならない。

7 議会は、会議を定刻に開会するものとする。

(議員の活動原則)

第4条 議員は、議会が言論の府であること及び合議制の機関であることを十分に認識しなければならない。

2 議員は、議員相互の自由な討議を重んじなければならない。

3 議員は、町政の課題全般について、課題別、地域別等の町民の意見を的確に把握しなければならない。

4 議員は、その政策能力を高め、政策提案の拡大に努力しなければならない。

5 議員は、自己の能力を高めるため、不断に研さんしなければならない。

6 議員は、個別的な事案の解決だけでなく、公共の福祉の増進を目指して活動しなければならない。

7 議員は、その身分により出席した会議について、会議の議題、会議結果、自己の発言要旨及び内容等を議長へ報告しなければならない。

第3章 町民と議会の関係

(町民参加)

第5条 議会は、議会の活動に関する情報の公開を徹底するとともに、町民に対する説明責任を十分に果たさなければならない。

2 議会は、本会議のほか、常任委員会、特別委員会、全員協議会を原則公開するとともに、会期中又は閉会中を問わず、町民が議会の活動に参加できるような措置を講じるものとする。

3 議会は、本会議、常任委員会、議会運営委員会、特別委員会の運営に当たり、公聴会制度及び参考人制度を十分に活用して、町民の専門的又は政策的識見等を議会の討議に反映させるものとする。

4 議会は、町民からの請願及び陳情を政策提案と位置づけるとともに、その審議においては、これら提出者の意見を聴く機会を設けることができる。

5 議会は、有権者である町民のみならず、未来を担う中学校生徒、高等学校生徒及び町民との意見交換の場を多様に設けて、議会及び議員の政策能力を強化するとともに、政策提案の拡大を図るものとする。

6 議会は、重要な議案に対する各議員の表決態度を議会広報で公表する等、議員の活動に対して町民の評価が的確になされるよう情報の提供に努めるものとする。

7 議会は、多くの町民が参加できるよう、平日の夜間、土曜日及び日曜日に会議を開催するよう努めるものとする。

8 議会は、第2項から前項までの規定の実効性を高めるため、全議員の出席のもとに町民に対する議会報告会を少なくとも年1回開催して、議会の説明責任を果たすとともに、これらの事項に関して町民の意見を聴取して議会運営の改善を図るものとする。

(町民が参加する会議の設置)

第6条 議会は、町政の諸課題に柔軟に対処するため、町政全般にわたって、議員及び町民が自由に情報及び意見を交換する会議を設置するものとする。

2 前項の会議は町民からの申し込みにより開催する。

3 前2項のほか、会議に関し必要な事項は、議長が別に定める。

(議会モニターの設置)

第7条 議会は、町民から議会運営に関する要望、提言その他の意見を聴取し、議会運営に反映させるため、議会モニターを設置する。

2 前項の議会モニターに関し必要な事項は、議長が別に定める。

第4章 議会と町長の関係

(質問)

第8条 議会の本会議における一般質問は、広く町政上の論点、争点を明確にするため、一問一答の方式でできるものとし、発言の時間は議長が別に定める。

2 町長は、議員の質問に対して質問の趣旨を確認するため反問することができる。

(町長による政策等の形成過程の説明)

第9条 町長は、議会に政策、計画、施策及び事業等(以下「政策等」という。)を提案するときは、政策等の水準を高めるため、次に掲げる政策等の決定過程を説明するよう努めるものとする。

(1) 政策等の発生源

(2) 検討した他の政策案等の内容

(3) 他の自治体の類似する政策との比較検討

(4) 総合計画における根拠又は位置づけ

(5) 関係ある法令及び条例等

(6) 政策等の実施にかかわる財源措置

(7) 将来にわたる政策等のコスト計算

2 議会は、前項の政策等の提案を審議するに当たっては、それらの政策等の水準を高める観点から、立案、執行における論点、争点を明らかにするとともに、執行後における政策評価に資する審議に努めるものとする。

(予算及び決算審査における資料の作成)

第10条 町長は、予算案及び決算を議会に提出し、議会の審議に付すに当たっては、前条の規定に準じて、分かりやすい施策別又は事業別の資料を作成するよう努めるものとする。

(議決事件)

第11条 議会は、地方自治法(昭和22年法律第67号。以下「法」という。)第96条第2項の規定に基づく議会の議決事件を条例で定めるに当たっては、次によるものとする。

(1) 議会が町政における重要な計画等に参画する観点

(2) 町長の政策執行上の必要性との比較考量

第5章 自由討議の拡大

(自由討議による合意形成)

第12条 議会は、議員による討論の広場であることを十分に認識し、議員相互の討議を中心に運営しなければならない。

2 議会は、常任委員会、特別委員会において、委員会提出議案、議員提出議案、町長提出議案及び町民提案等に関して審議し結論を出す場合、議員相互の自由討議により議論を尽くして合意形成に努めるとともに、町民に対する説明責任を十分に果たさなければならない。

3 議員は、前2項による議員相互の自由討議を拡大するため、政策、条例、意見等の議案の提出を積極的に行うよう努めるものとする。

第6章 政務活動費

(政務活動費の報告)

第13条 議長は、年に1回、政務活動費の使途状況を町民に報告しなければならない。

第7章 議会改革の推進

(議会改革推進会議)

第14条 議会は、議会改革に継続的に取り組むため、議員で構成する議会改革推進会議を設置する。

2 議会は、必要があると認めるときは、前項の議会改革推進会議に法第100条の2の規定に基づき、識見を有する者等を構成員として加えることができる。

3 前2項によるほか、議会改革推進会議に関し必要な事項は、議長が別に定める。

(調査研究の推進)

第15条 議会は、独自に又は共同して、分権時代にふさわしい議会の在り方についての調査研究等を行うものとする。

第8章 議会の体制整備

(委員会等の適切な運営)

第16条 議会は、社会・経済情勢等により新たに生じる行政課題に適切かつ迅速に対応するため、常任委員会、特別委員会等の適切な運営により機動力を高めなければならない。

(調査機関の設置)

第17条 議会は、町政の課題に関する調査のための必要があると認めるときは、法第100条の2の規定に基づき議決により、識見を有する者等で構成する調査機関を設置することができる。

2 議会は、必要があると認めるときは、前項の調査機関に議員を構成員として加えることができる。

3 第1項の調査機関に関し必要な事項は、議長が別に定める。

(議会アドバイザー)

第18条 議会及び議会事務局は、広く英知を結集して活動をするため、町内外から協力者(以下「議会アドバイザー」という。)を依頼し、その協力を得ることができる。

2 議会アドバイザーの氏名は公開する。

3 前2項のほか、議会アドバイザーに関し必要な事項は、議長が別に定める。

(議員研修の充実強化)

第19条 議会は、議員の政策形成及び立案能力の向上を図るため、議員研修の充実強化を図り、この条例の理念を議員に浸透させるよう努めるものとする。

2 研修に参加した議員は、その成果を議長に文書で報告するように努めなければならない。

3 議長は、前項による報告書を公開しなければならない。

(議会広報の充実)

第20条 議会は、町政に係る重要な情報を、議会独自の視点から、常に町民に対して周知するよう努めるものとする。

2 議会は、情報技術の発達をふまえた多様な広報手段を活用することにより、多くの町民が議会と町政に関心を持つよう議会広報活動に努めるものとする。

第9章 災害時の対応

(災害時の対応)

第21条 議員は、町民の生命及び財産を災害から保護するため、町災害対策本部とともに防災活動にあたらなければならない。この場合、議長は法第100条第13項に基づく議員派遣として、手続きを行わなければならない。

2 議員は、災害が発生することが予想される際には、地域の情報を把握するとともに町災害対策本部と情報を共有し、災害の未然防止に努めなければならない。

3 議員は、災害対策、人命救助等に関わる各種講習会に積極的に参加し、知識及び技能の習得に努めなければならない。

4 議長は、災害が発生した場合においては、速やかに連絡会議を開催し、町民の協力を仰ぎ、一日も早い復旧に尽力するとともに、町民生活の安定及び維持に努めなければならない。

第10章 議員定数、議員報酬及び議員の政治倫理

(議員定数等)

第22条 議員定数及び議員報酬(以下「議員定数等」という。)の改正に当たっては、行財政改革の視点だけでなく、町政の現状と課題、将来の予測と展望を十分に考慮するとともに、議員活動の評価等に関して町民の意見を聴取するため、公聴会制度及び参考人制度を十分に活用するものとする。

2 議員定数等を定める条例の改正案は、法第74条第1項の規定による町民の直接請求があった場合を除き、改正理由の説明を付して議会運営委員会が提案するものとする。

(議員の政治倫理)

第23条 議員は、町民全体の代表者としてその倫理性を常に自覚し、自己の地位に基づく影響力を不正に行使することによって、町民の疑惑を招くことのないよう行動しなければならない。

第11章 最高規範性及び見直手続

(最高規範性)

第24条 この条例は、本町の議会運営における最高規範であって、議会は、この条例に違反する条例、規程及び要綱等を制定してはならない。

(議会及び議員の責務)

第25条 議会及び議員は、この条例に定める理念及び原則並びにこれらに基づいて制定される条例、規程及び要綱等を遵守して議会を運営し、もって町民を代表する合議制の機関として、町民に対する責任を果たさなければならない。

(見直し手続)

第26条 議会は、一般選挙を経た任期開始後速やかに、この条例の目的が達成されているかどうかを議会運営委員会において検討するものとする。

2 議会は、前項による検討の結果、制度の改善が必要な場合は、この条例の改正を含めて適切な措置を講じるものとする。

3 議会は、この条例を改正する場合には、全議員の賛同する改正案であっても、本会議において、改正の理由及び背景を詳しく説明しなければならない。

この条例は、次の一般選挙による議員の任期の開始の日から施行する。

出雲崎町議会基本条例

平成25年3月18日 条例第14号

(平成25年5月19日施行)

体系情報
第2編
沿革情報
平成25年3月18日 条例第14号